ひな菊と黒い犬

まあまあそこそこほどほど

名刺入れは文庫屋大関の天溝がま口

人生でこれまでに所持した名刺入れは3つ。

一つは無印良品のアルミケース。これは何かの拍子にへこましてしまい、アルミ缶とともに資源ごみになりました。

一つは大学卒業時に全員がもらう革の名刺入れ。これは今は診察券入れになっています。

そして大きな仕事を獲得して、名刺の肩書が変わったときに購入した、文庫革の天溝がま口。

播州姫路で生産される姫路革とも呼ばれる真っ白な革」「手作業での型押し・彩色が行われる工芸品」。

憧れの白い革。白い革は、手垢がつくのがおそろしくて、財布にはしたくなかった。でもいい名刺入れを持ちたい、と思ったときに、真っ先に浅草の大関に行こう、と思ったのです。

がま口が好きで、色々ながま口を持っているけれど、天溝がま口ほど上品ながま口はないと思う。薄さが美しくて、あまり入れないようにしているけれども、それでも30枚余裕。

柄が多くて悩んだけれども、「蜻蛉菊」にしました。縁起を担いで勝ち虫のトンボ。後ろを振り向かない。そして誕生花の菊。さらに、当時は水に関する仕事が多かったので「水をあしらった菊水文様」「長寿の象徴」というのもうれしかった。白い革の部分が多いのも手に持ったときの滑らかさがよかった。

いい値段がするので、さんざん悩んだ挙句購入したのが、6年前の話。特に女性のお客様は、ほんとうによく小物を見ていて、その名刺入れいいですね、と言われることもしばしば。私はごつい腕時計をしている(参照)ので、対照的ともいえる繊細な名刺入れに驚かれる。

 

この度、仕事の職種が増えて、名刺の肩書が増えた。正確には、2種類の名刺を持つことになった。困ったのは、新しく持つことになった名刺は、古いお客様には渡せない。逆もしかりで、元から持っている名刺を新しいお客様には出せない。つまり使い分ける必要がある。

がま口の中に仕切りはついているけれど、初回の挨拶のときに、間違って出してしまっていないか、えらいヒヤヒヤした。上司に相談すると、自分は名刺入れを2つ持っている、という。なるほど。

というわけで、新しい名刺入れをお迎えすることにしたのです。

今度は逆に、触った瞬間にわかるほど、白い革の部分が少なくて模様が細かくて多いもの。色がぱっと見で違うもの。

これも散々悩んだ挙句「花菱」にしました。彩色されている色が最大の20色とあって艶やか! どうぞよろしく。

蜻蛉菊と花菱