ひな菊と黒い犬

まあまあそこそこほどほど

国立劇場さよなら公演「曾根崎心中」

初代国立劇場
1966年の開場から57年。ついに建て替えです。

さよなら公演 チケット売り場
感染症対策も相まって足が遠のいていましたが、最終演目に「曾根崎心中」。さぞかし人気だろうと思っていたら、空いてる・・・!さよなら公演なのにめったにやらない人気演目なのに、土日が空いてるなんて信じられない!というので席埋めに行ってきました。

私が文楽を観るために初めて国立劇場に来たのは 2006年です。
その時ですら、古い!狭い!と思いました。
映画館が軒並み建て替わっていて、ゆったり寛げるタイプに順次切り替わっていたから、その当時ですら、まだこのタイプの椅子・・!(お尻痛い)とか思いました。
布張りはしっかりしているから開館当時は贅沢な椅子だったんだろうけどなー。

小劇場前
開演30分前にならないと建物の中に入れない、というのも衝撃だった。
え、チケット持ってるのにロビーにも入れないの・・!
建物の外は、ちょっとしたベンチがあるだけ。
暑いしベンチは取り合いだしで、いやがらせ?とか思うつくりでした。
うん、直前にタクシーで乗りつけるっていう客層が相手って言われてる気分で、下々の者は文楽も観られないのか!と思うね。

正直お土産売り場も食事も建物の中でしかできないのに、30分前とは短すぎる!
というので毎回、開場してから開演するまでの30分は、パンフを買い、イヤホンガイドを借り、お土産売り場を覗いて、混んでるトイレを並んで済ませるというのでバタバタです。
そういや久しぶりに行ったらトイレが新しくなってた。
文楽なんて、江戸時代に始まったときには大衆演劇なわけで、伝統芸能離れというのはさみしいけれど、建物が新しくなったらこういう敷居の高さや不便さはなくなるといいな。

曾根崎心中
徳兵衛は吉田玉男。お初は吉田和生。
吉田和生が世話物で女役やるのって珍しい気がする。
世話物なら女房役の方が合う気がするな。
今回のお初も、なんていうか、徳兵衛より年上な印象を持ってしまった。
なんだろうな。軽やかっていうより、どっしりしている感じ。
吉田玉男の徳兵衛は、びっくりするほど姿勢がよくて、それがなんだか「俺は悪くない」っていうふうに見えてしまって。
色々理不尽な状況に対して我を通して死に向かっていく様が、すごく愚かに感じた。
なんかこの二人なら、「夫婦善哉」の続編みたいに、大阪から別府に行って商売やれそうなのにな。

国立劇場
心中物に対して、そういう感想を持ってしまったあたり、私が年を取ったのかなあとか思う(苦笑)。
2029年再開だそうで、それまでは他の劇場を転々としてくれる。
令和5年12月文楽公演は北千住のシアター1010!
仕事帰りに行けそうなとこです。