ひな菊と黒い犬

まあまあそこそこほどほど

私たちは川と共に生きる

本体建設が始まってから、八ッ場ダムに行くのも4回目になりました。建設、最終年度です。

 

nagareru.hatenadiary.org

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10月1日から試験湛水が始まって、12月くらいに満水になるからその頃にもう一度行こう、と思っていたら、台風19号襲来で、10月12日(土)の一夜にしてほぼ満水。

10/12(土)12:15 10/13(日)5:53

このとき、私が通勤でいつも使ってた野田の芽吹橋も栗橋の利根川橋でも、氾濫危険水位を超えていました。

これって、利根川を渡る橋のほんの数メートル下に川の高さがあるってこと。

10/12(土)12:15

この時私は守谷市にはいなかったのだけれど、家に帰ったら家がないかもね、くらいのことは考えました。

いつになったら水位が下がるのかとどきどきした。もう、見ていて泣きそうになる。よく堤防が持ちこたえてくれた、と思う。

八ッ場ダムがどれくらい利根川のピークカットに貢献したか、最終的には国交省が公式値を出すだろうけれど、とりあえず検証した方がいたので見てみると17cmだそう。17cmも下げるなんてすごい!

参照:台風19号、利根川における八ッ場ダムの洪水調節効果(八ッ場あしたの会)

ん?ちょっとこの記事おかしいね、17cmは「大きな数字」でしょう。

氾濫危険水位が8.90mで、カスリーン台風のときの最高水位9.17m。

今回の実績が9.67m、計画高水位が9.9m、堤防の高さ約12m。

八ッ場がなかったら9.84m(推定)。

計画高水位までは、計画上安全に水が流せる水位とされているけれど、これまでに実際に水を流して安全を確かめたことなんて、一度もないのだ。「計画高水位までは氾濫しない」なんて保証はないし、堤防が切れるのは「越水」だけじゃない「浸透」だってある。

これは昔読んだ本に書いてあったことだけれど、国をはじめとする河川管理者は、模型等での実験は散々やって理論上流せることはわかっているけれど、「ほんとうに流せるかどうかは誰もわからない」からみんな祈るような気持ちで堤防を見守るのだという。

だからこそ、河川が氾濫するおそれのある水位(氾濫危険水位)は、計画高水位より1mも下で、避難情報の発表となる避難判断水位は、さらに80cmも下なわけで、そしてそれにも関わらず、今回避難判断水位から氾濫危険水位まで1時間もかかってない。つまり避難情報が発表されてからの避難では遅すぎると思う。

カスリーン台風が1947年、あれから70年かけた河川整備のおかげで、今回9.67mまでは流せることがわかった、という程度でしかない。

それでも今回の八ッ場ダムの働きは「奇跡」と思う。

なぜなら試験湛水をはじめたばかりだったから。通常運用してたら、こんなには水を溜められなかっただろうから。こんなことができるのは、今回だけだから。そうしてそのたった1回だけの機会に実践投入できたから。もし湛水できる状態でない時にこの規模の台風が来ていたらダムが決壊していたかもしれないと思うとぞっとする。

参照:八ッ場ダムが本格運用されていれば、今回の台風で緊急放流を行う事態に(八ッ場あしたの会)

正直、2~3か月かけて様子を見ながら貯めていくはずの試験湛水中に一晩で満水なんてリスキーすぎる。ほんと試験中のブツを引っ張り出すなんてSFアニメかと思うわ(感涙)。

だからこそ、八ッ場ダムが完成したからといって河川整備は終わりじゃないし、記事に書いてあるように「河川整備計画に沿って整備をすすめれば栗橋の水位をあと70cmも下げられる」という期待と用心さで、慎重に今後も生きていくしかないのです。

河川整備は今回の台風に間に合わなかった。八ッ場ダムは間に合った。それだけの話。

今回頑張ったのは八ッ場ダムだけじゃない。利根川水系のダムはすべてほぼ満水になり、渡良瀬遊水地も過去最大量貯めて、あらゆる調節池に水が入った。ありがとう。みんなありがとう。

まあそんな気分で見る、前回と同じアングルです。

八ッ場大橋から下流 

八ッ場大橋から上流 

私が大学の時には温泉街の入口に「ダムに沈む河原湯温泉」と看板を掲げていた河原湯が、ほんとうに沈んでしまった。

ダムカレーパン

前回売り切れだったダムカレーパンもゲットです。

放流中

今はダムの最低水位まで下げるために放流中とのことで、吾妻渓谷も歩いてみました。私が建設中に見た洪水吐は、かなり下の方だということがわかり、旧熊の茶屋からは水煙が見えるのみ。

ハイキングコース通行止

ハイキングコースの終点・小蓬莱見晴台からだったら見られるのかもしれないけれど、土砂崩れのため通行止め。

2019.6.25 吾妻渓谷ハイキングコース一部通行止めのお知らせ(東吾妻町観光協会)

吾妻渓谷

紅葉はちょっと早かったかな。ハイキングコースが通れるようになったらまた来たい。