ひな菊と黒い犬

まあまあそこそこほどほど

2月文楽公演 "天網島時雨炬燵"

二月文楽公演。

天網島時雨炬燵(てんのあみじましぐれのこたつ)を最終日で観てきました。

初・国立劇場

朝から関東は久しぶりの大雨で、着物で行きたいけどこの雨じゃなぁーと思っていたら、駐車場あり500円という情報を聞きつけて車で行くことに。ドアtoドア。

事前に電話してみたら、「まあ満車になることはないでしょう」というお返事。

都内で終劇まで500円って破格の値段なのに、満車にならないって(!)

と思いつつ出向く。

雨なので首都高ガラ好き。雨の日はおかしな運転する車も少ないし、渋滞も無いしで雨の日のドライヴ大好き。渋滞するかもと3時間も前にうちを出たのに30分で到着。早ッ。

国立劇場は入口ロータリーから右手奥に入ったところにあって、駐車場の管理人に500円渡し入場するのだが、

「あーたぶん2か3のあたりが空いてるから」

とかいう適当な案内。しかも空いてないし。通り抜けできないからバックで出なきゃいけないし。しかも狭い。そんでやっと見つけたトコに入れようとしたら管理人が勝手に「ハイオーライーバックバック」とか言ってきて、いやあんたすごく邪魔だから!という感じで大変でした。500円で空いている謎がここに解明。ああいう管理人のひとって自分で車運転したこと無いに違いない。一番いてほしくないところに立ちやがるのです。

で、せっっかく早くついたのに国立劇場って開演30分前にならないとロビーにも入れないのな。高いあんみついただいて喫茶店でマンウォッチングをしつつも結局車の中が一番くつろげるので駐車場に戻る始末。これって、昔東京ディズニーランドに行ったときもやったな・・・休み場所難民。

ああ、初めて出かける先は飲み物と食べ物を確保して出ないとね、と学習。

国立劇場は駅からもそれなりに歩くし、この激しい雨の中、車で来なくてどうやって皆様来られているのかしら、と思ったら、タクシー乗り付け。さすが。あと都内バスが多いみたい。

と、長々と書いてみました。次回来るときの備忘録の為に。

パンフレット600円で購入。床本つき。小劇場では床本は舞台の両柱に投影されるので、無くてもなんとかなるけど、パンフ好きなので買う。

あとイヤホンガイド550円。補償金として千円預ける。

片耳だけ入れて、片耳でガイドを聴いて片耳で太夫と三味線を聴く。でもガイドと太夫の声が重なるところは思いの外少なくて良かった。時代背景の説明とかもかなりあって嬉しい。

席は13列目のかなり右端でどうかなあ、と不安だったけれど、舞台も出語り床もばっちり観られて良かったです。そうそう、文楽は9割方が1等席。2等や3等は太夫が観られなかったり椅子がパイプ椅子だったりするので避けるべし。

休憩時間(15分)は時計でカウントダウンしているのが目安になって良かったです。

入館前

母から奪った譲ってもらった道行きコートに雨だったのでウールの着物。

国立劇場ではさすがに着物率が高く、みなさまきちんとした訪問着とか着ていらっしゃる。帯もばっちり高級そうな。私なんか(道行きはともかく)かなりラフな、洋服でいうところのジーンズ並のものを着てしまった。次回はもっと品のあるものを着たいなあ。

道行きは羽織と違って建物内では脱ぐものらしい。

道行きを上品に脱ぎ着するのはかなり修練が必要に思われた・・・。

とりあえず着付教室で習ったのを思い出しつつ。

そういえば、国立劇場は人が入ってくるのもぎりぎりだったけれど、出ていくのも潮が引くように早かった。劇の終わり頃にはもうコートを着はじめる人もいて、映画のエンディングも最後まで観てから席を立つ自分としては余韻を味わっている間もなく追い出された気分。

終わった頃には売店も全部閉められているし。(おみやげは休憩中か劇前に!)

地方公演で観る方が文楽はいいのかもしれないなあ、と思ったり。

文楽はもちろん、とてもよかったです。

今回の天の網島はかなり思い入れのある作品なので、それを浄瑠璃で観られるのがまずうれしい。しかもかなり改作している。原作とは違うシーンがあるというのは知っていたけれど、こんなに違うとは!と驚き。

他にも、思い違いをして解釈をしているところに気づいたり、セリフでない「語り」の部分もこれほど感情豊かに語られるものなのかと、初めて知ったり。

人間国宝の芸が間近に観られるというだけでも貴重なことです。前回の曽根崎心中は地方公演ということもあって、太夫の交替なども少なかったけれど、今回は場ごとに変わっているので、太夫ごとの違いも感じたり。

人形の動きにしても、このセリフの時に、吸いつけたばこをしていたなんて!とか、いろいろ新鮮。やっぱり読むのと観るのはちがうなあ。

ところでラストの首吊りシーンは露骨でなかった・・・・

人形だとリアルすぎて敬遠されるのかもしれない。でも網島はあの飄々とした終わり方が、物悲しさを通り過ぎて残酷で、胸に迫って良いと思うのだけれど。

次は女殺油地獄が観たい。冥途の飛脚も。

# ほんじつのキモノ

道行き(絹):母譲り:道行き初めて着てみました。

ウール単衣:¥1300:楽天フリマ:渋めの色も花唐草のような模様も気に入っている。