前回の廃油石けんで溜めてた廃油を全部使い切った。もうキャノーラは買わない、と心に決めて、それなりなオリーブオイルで全部料理するようになると、そんなに油を使わない。そしてそれでもキャノーラよりずっと早く消費することがわかった。
揚げ物は最小限の量で済むようにするし(もったいないから)、揚げ物に使った油を炒め物に使う(傷みが遅いから)。つまり廃油が出ない。そしてキャノーラと違って、ドレッシングやマリネにも使う(美味しいから)から、消費が早い。1Lくらいなら油が傷む前に使いきれることもわかった。(これで1年前に開封した油がまだある、なんてこともない)
もう廃油石けんをつくることはないだろうな・・・と思い始める。これまで廃油石けんは食器洗い専用として使ってきた。今の廃油石けんを使い切ったら、次はちょっといい油で、体も洗える浴用石けんをつくって、家中の石けんをそれひとつでまかなえるようにしよう、と思い立つ。
体を洗う石けんは、市販石けんを使っている。どうせ次につくる石けんにちょっといい油を使った浴用石けんをつくるなら、さっさとつくってしまって、市販石けん買わないことにしよう。
というわけで、我が家の基本の石けんとするべく、再度石けんづくりの基本に立ち返ることになったのでした。
石けんをつくってみたい、と思って買ってきたのは、前田京子さんの「オリーブ石けん、マルセイユ石けんを作る」という本。油の性質について詳しく書いてあって、世の中にはこんなに油の種類があって、それはまったく性質が違う、ということの勉強になった。
だけれども、彼女の石けんはオリーブオイルの量が高くて、使ってみるととても緩い。お風呂に置いておいたら溶けて流れてしまって、受け皿をおいても液体石けんみたいになってしまう。そんな石けんになってしまうとオイル自体も高いオイルを使用しているから、もったいない、と思ってしまう。緩い石けんは石けんの使用量を高くするから、環境にもよくないのです。ちゃんと必要な量を必要なだけ最低限使う、そういう考え方とは違う石けんができてしまったのが残念に思って、最初につくって以降、彼女のレシピでは作っていない。
彼女の本では動物性油は否定されがちで植物性油が最高、という感じがあったけれども、前回の廃油石けんづくりで、パーム油に環境破壊の要素が少なからずあることに気付いた。ラードの成分は決して悪くないし、むしろ石けんを固くするにあたって最適、さらに安価で入手しやすい!となると、通常の浴用石鹸にもラードが急浮上してくる。私は一度に大量に石けんをつくって数年かけて消費するので、酸化防止剤にビタミンEが入っているのも嬉しい。
オリーブ・ココナッツ・ラード。これが私が考える基本の石けん、と決める。
私が大量に石けんをつくる理由は、苛性ソーダを一度に使い切ってしまいたい・使い残しを保管しておきたくない、というのが第一の理由。第二に、大量に作れば、油をそれほど正確に計量しなくても10%前後のディスカウント率の誤差の中に入るから、手間が少なくてラク、というのがある。
そんなわけで苛性ソーダ450gを使い切るべく、毎回3000g以上の油を使うのです。今回はさらに計らなくていいように油を購入してみた。
我が家の基本のレシピ
・オリーブ油2本(914g+684g=1598g) 597円+880円
・ココナッツ油1本(912g) 850円
・ラード4本(200g×4=800g) 600円
・苛性ソーダ(450g) 698円(年々値上がりしている・・・)
・精製水2本(500ml×2=1000ml) 176円
計3801円(石鹸48個分)
油のグラム数はパッケージに書いてある数字。
いつもお世話になっている「ぐるぐる石鹸工房」さんで計算。
油3310gで、水分量30%のときに水993g、10%ディスカウントで苛性ソーダ448g。
油3310gで、水分量31%のときに水1026.1g、9%ディスカウントで苛性ソーダ453g。
容器から移し変えるときに多少量が減ったとしても、精製水1000g・苛性ソーダ450gで、水分量もディスカウント率も1%未満の誤差で済む。油も水も苛性ソーダも計量しなくていい程度の誤差の範囲に入るってこと。万歳。
今回は前回の失敗も踏まえて、油の温度を上げすぎないようにしてみた。かといって温度計もってないし温度はかるのも面倒。今の気温だったらココナツは常温でほとんど液体だし、ラードだけ湯煎すれば、常温のオリーブ油とココナツ油と混ぜたときに適温に近くなると判断。思った通り、ココナツ油は少し固形部分があったけれども、湯煎したラードと混ぜると全部きれいに溶け切った。ゴム手袋の上からステンレス鍋に手を当てると少し温かい。
苛性ソーダは劇薬。長袖マスクめがね必須です。ステンレス鍋に苛性ソーダを出して、慌てずゆっくりと精製水を流し込む。最初の反応で熱が発生するので、ふたをして氷に当てて冷やします。反応が少し落ち着いたところで、ステンレス泡だて器で溶け切ります。これもゴム手袋の上からステンレス鍋に触れて油より少し高い温度かな?というところまでは下げる。
油は手動泡だて器でやってたらいつまでたっても終わらないのでハンドミキサー(電動泡だて器)におまかせです。そういえば前はプラまな板の上に乗せていたのだけれどもプラまな板を何かの拍子に焦がしてしまって捨てたので、木のまな板にラップ張って、その上に布巾をおいてからハンドミキサー乗せてます。
最初は飛び散らないよう最低速で油を混ぜさせつつ、そーっと苛性ソーダ水を流し込みます。ステンレス泡だて器も油の中に入れて、機械と手動でゆっくり混ぜる。苛性ソーダ水が入ってた容器は、速攻大量の水で洗い流します。
油と苛性ソーダ水があらかた混ざっただろうというところで、ミキサー最速。あとは時々、泡だて器を使ってかき混ぜながら固さを見極めます。
鹸化中
さて今回の石けんづくりには、トッピングとしてぜひとも使ってみたいものが2つ。それはバニラエッセンスと食紅。バニラエッセンス、買ったものの全然使わない、消費期限とっくに過ぎてるのに20ml以上あります・・・。食紅も同じ。ひとかけら程度しか使わないまま何年も放置されていました。どちらも捨てるのは簡単だけど、どうせなら石けんにしちゃうと楽しいかも!?ということで、全部。
それにしても2時間経つのにトレースがでない・・少し温度をあげてみるかーととろ火3分。さらに1時間経過するもトレースがでない・・・なんかトレースを早く出す方法は・・?と思って調べると、アルコールが鹸化を促進させるとのこと。
アルコールって・・バニラエッセンスさっさといれろってことかっ!
というのでバニラエッセンス入れたらすぐトレースでました。アルコール恐ろしい・・。今回入れようかと検討してたけど薬局品切れで入手できなかったひまし油もトレース早いらしいので、次回はひまし油入手して入れよう。
食紅(赤)は、入れすぎると物凄い色になってしまうというので、全投入はどうか・・と思っていたのだけれども、こんな感じに。
食紅は入れた直後より時間を置いた方が発色がいいらしい。食紅の赤とラードの白でいい感じにピンクになればいいなあとほのかに期待です。
さて、石けんの型は牛乳パック使用。このつくり方が最高!というので愛用させていただいております。(参照:ちこのアロマ館「石鹸の型」)
今回の量は牛乳パック型6個に8分目ほどそそぐとちょうどいい量。
さらにふたをして紐で結び、型崩れを押さえて、発泡スチロールへ。(ちょうど6個入る!)
使った道具はウエスでよく拭いてからよく洗う。(もちろんウエスは厳重にくるんで燃えるゴミ)
あとは型だしして、8等分に切って、乾かすだけ。楽しみ~♪