ひな菊と黒い犬

まあまあそこそこほどほど

過去の余韻に打ちひしがれる

大塚国際美術館エントランス
私が米津玄師の凄さを知ったのは、2017年でした。
1993年フジテレビドラマ「ifもしも」の一作、岩井俊二監督作品『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか? 』が好きで、オンタイムで見てビデオもDVDもブルーレイもサントラも持ってる。
それがアニメ化して、その主題歌が、DAOKO × 米津玄師『打上花火』だった。
正直、岩井俊二の「打ち上げ花火~」が好きすぎて、あのテーマソングREMEDIOSの「Forever Friends」を上回る作品があるはずない、と思ってたから(今も思っている)、驚いた。
岩井俊二作品のエンディングに流してもいい、と思える「打ち上げ花火~」の世界観の再現。アニメの方が好みでなかっただけに、米津玄師がインプットされた。
大塚国際美術館・システィーナホール
2018年紅白歌合戦に米津玄師がでて、その場所が大塚国際美術館のシスティーナホール。
前々から一度行ってみたいと思ってたから、見た瞬間に「大塚国際だ!」と思った。
Lemonの陶板
世界の名画(のレプリカ陶板)が展示される大塚国際に、「Lemon」のジャケットがあるのは、ある意味異様です。しかも常設。
大塚国際美術館の複製は、礼拝堂をまるっとコピーしている、その規模感が本当にすごい。環境展示というらしいが、実物だとこうは見られないだろうな、という見せ方がいい。美術館なのに写真撮影OK。触れる。(今は感染症対策で触るのは禁止だけど)係員がモナ・リザに消毒液吹きかけて布巾で拭いてたのは、衝撃だった。
鑑賞ルート約4キロあるということで、丸一日美術館の中にいるつもりだったのだけれど、渦潮が歩いて見に行けるというので、行ってきた。
美術館の案内 大潮の日
特に予約もせず、行ってすぐ乗れるって素晴らしい。
渦潮を見るのは初めて。
大潮の日の、干潮になる、一番うずが期待できる時間を狙っていきます。
発生ポイントは限られているらしく、船は一目散に橋の下に行きます。
いやーすごかった。
うず潮
うず潮って、いつも渦を巻いているのかと思いきや、発生しては消失していくという繰り返し。その動きが凄い。
うず潮に満足して、もう一度美術館に戻り、2周目。
ゴッホのヒマワリ
陶板にすることで、色も形も2000年保つという。
特にゴッホの失われたヒマワリは凄かった。空襲で焼失した「芦屋のヒマワリ」を写真から再現。まさにレプリカならでは。
ゴッホのヒマワリ
筆致まで再現してるところが凄い。
ゴッホは生涯で7点のヒマワリを描いていて、その全部が揃っているのもよかった。
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館」で初めてヒマワリを見たのは、1996年。展覧会「海」を見に行った時だったか。(今はSOMPO美術館に常設らしい)
本物を初めてみた時と同じ印象で見ることができて感動した。
モネのスイレン
ちなみに、ゴッホのヒマワリみたいな、筆遣いまで再現しているような立体的な陶板は、実はほとんどなくて、B3階の古代あたりは気合が入った陶板なのだけれど、B1階バロックあたりから手抜き感が否めなくなっていき、1階2階の現代作品にいたっては、ポスターかっていうレベルまで質が落ちる。ムンク「叫び」はコメディかと思うほどで、「マドンナ」に至っては、本物を見たことがあるだけに、なんだこりゃ?というがっかり感がある。
ゲルニカ」は原寸大タピスリの方が感動した。
1000余点も展示してくれているけれど、後半疲れてくるので、作品数は半分でいいから、もちょっと「ヒマワリ」レベルの陶板を増やしてくれるとよかったのになあ、というのが感想。
本物を見るって、大事だなあ。それがいずれ消失してしまうものであっても。
だからこそ、見ておきたいと思う。
人生物見遊山。