2000年から3年に一度開催されている越後妻有アートトリエンナーレ。パスポートを買って数日かけて周りたいくらいだけれども、現代美術ってのは当たりはずれが大きいというか。好みのものはものすごく見たいけど、好みじゃないものはそこまでして見なくても、という感じで二の足踏んでた。トリエンナーレは事前にどんな作品が出てくるかわからないものが多いし(まあそれも面白さの一つだけど)。
今回もそこまでチェックしてなかったのだけれど、舞子高原ホテルのロビーに宣伝チラシがあって、これ絶対見たい、というのがあったので行くことにした。
夏に来ても雪深さをおもんぱかるスノーシェッド。長い。スノーシェッドからスノーシェッドが見える。
こちらはスノーシェルター。明かり取りの連なりが格好イイ。
作品番号N079,080 ペリスコープ/ライトケーブ(マ・ヤンソン/MAD アーキテクツ)
日本三大渓谷のひとつ、清津峡。昭和63年に峡谷内で落石死亡事故があり、それまで使用してきた遊歩道(登山道)が通行禁止。平成8年に清津峡渓谷トンネルが開業。そのトンネルが今年4月にリニューアル。改修そのものがトリエンナーレの作品となっている。朝イチ突入の甲斐あって、第一駐車場確保。
トンネル入口。この左側から遊歩道があったと思われるけど、石で隠してあった。
たぶんトリエンナーレの作品の一つだと思うのだけれど、ライトの色を変えてある。
赤のところでは、トンネルの手堀作業をイメージしたと思われる声と音があって正直怖い。いやここのトンネルは手堀じゃないからw
青のところでは天井に白いぽつぽつ。トンネルにしてみたけど鍾乳洞の石灰が出てきているイメージ?いやここ鍾乳洞じゃないからw
第一見晴所。ここはいわゆるオーソドックスに渓谷が見られる。ぱっと見てすぐに移動する人が多くて人が少ない。
第二見晴所。場違い感甚だしい銀色の塊は今回のリニュアルで作られたトイレ! トンネル内のトイレはこの2つしかないのでもちろん駐車場のトイレで済ませてきておりますが、中を見ずにはいられない・・! マジックミラー構造になっていて、渓谷側のトイレを使うと用を足しながら渓谷が見られるという素敵構造。もちろん周囲の人がこれなに?とばかりにじろじろ中を見ようとするので見えてないとわかっていても心理的には落ち着きません。楽しい。
渓谷は、六角状の柱状節理がはっきりしてきて、渓谷美に目を奪われます。足元を見ると草むらの中に元・遊歩道が見える。ほそい!人ひとり幅しかありません。どうやってすれ違ってたんだろう。死ぬ。
第三見晴所。現代美術に意味を求めてはいけない、と思う。みんながとりあえず鏡を覗きこんでいる様を見ているのが愉しい。柱状節理はますますくっきり。
最終・パノラマステーション。床一面に渓谷からの湧水を張っているので、靴を脱いで素足で上がります。水が冷たい! トンネル内にも渓谷が写りこんで、水面が美しい。人がわらわらいるシルエットも楽しい。これ夏はいいけど、冬はどうなるんだろう・・と思ったらトンネルは冬期休業らしい。
パノラマステーションからは下流側の渓谷が見られます。上流側は見えません。よくよく見ると左下の方に元・遊歩道の終点と思われる広場が!
つまり遊歩道が使えた時には上流側が見られたのね・・。福島の塔のへつりに行った時も思ったけど、昔の安全管理は適当で、すぐそばに危険があった。でもたぶん自然美を味わうってそういうことなんだろうと思う。黒部峡谷行ったときに日電歩道の入口だけ見てきたけど、もう入口で十分ですっていうくらい、目の前に断崖絶壁の細い命がけの登山道がありました。
私はレビューを見るので満足です。人間ってすごいね。
エントランス施設まで戻って、足湯。トンネルを掘った時に出たという温泉。2階に足湯があるのは珍しい。円形になっていて、天井を見上げると鏡に渓谷が写っているという仕組み。パノラマステーションで冷えた足を温めます。ステーションで渓谷の水の冷たさを、足湯で温泉の温かさを、両方味わう醍醐味。そうか水面や銀色のパネルを多用してるのは映り込みがテーマなんだなあ。映される自然、映される自分。1Fはカフェになっていて、渓谷見ながらまったり。混んできたので移動します。
作品番号T025 越後妻有里山現代美術館[キナーレ](原広司+アトリエ・ファイ建築研究所)
作品番号T352 Palimpsest: 空の池(レアンドロ・エルリッヒ)
レアンドロが作品出してる、というのでキナーレへ。キナーレは町中にあって駐車場も狭いのに、中は贅沢空間。コンクリートむき出しの柱が規則的に並ぶカッコイイ建物。
レアンドロの作品は中庭。中庭の池に、周囲の建物が写りこんでいる絵が描いてあって、実際に反射している風景と二重になっている様が異次元ぽくて面白い。この池も中に入ってオッケー。池に人が入っている方が、作品が完成する感じがする。
まあちなみにキナーレに入館料払わなくても中庭が見られることがわかって、都合よくベンチもあるものだから、まったり鑑賞。満足。
まあでもレアンドロは金沢21世紀美術館の「スイミング・プール」が秀逸すぎるなあ。
2008年8月訪問