ひな菊と黒い犬

まあまあそこそこほどほど

喪の装い

親戚の急な訃報で、喪服を着ました。

正直今回は、喪服の格について、ものすごく悩んでしまったので、覚書のため書き残しておきます。写真ナシ。

 

いろいろ検索して参考になったサイトはこちら。

喪服について/きものと帯の山善小林

きものと悉皆<みなぎ>山口県 きもののメンテナンス専門店-喪の装い(TPO別)

 

お葬式には仕事の都合でどうしても出られず、出席するのは、通夜。

故人との関係は4親等。喪主はブラックフォーマルワンピース(洋服)。

私が持っているのは、黒喪服(五紋)+黒喪帯と、色喪服(紋なし江戸小紋)+色喪帯。

 

喪主が洋服だというのはわかっていたので、洋服のつもりだったのだけれど、故人の娘さんが和服気になる、ということだったので着る事にした。

 

喪服の格は以下のようになる。(1)の方が格が上で、足袋・半襟・襦袢以外は黒。格が下がるほど黒の部分が減る。私は格というよりも、「喪に服す」という心を色であらわすのだろうな、と思っている。

(1)黒喪服+黒喪帯

(2)黒喪服+色喪帯

(3)色喪服+黒喪帯

(4)色喪服+色喪帯

 

色喪服は、紋付の色無地(紺・紫・灰色等の不祝儀に合わせた色)を言うのだけれども、残念ながら私は色無地*1は持っていないので、格としてはさらに下の江戸小紋(灰色)。しかも無紋。

(4)は法事服、のイメージがあるので、通夜には軽すぎるかなあ、と(3)を考えていたのだけれど、そういえば関東圏の通夜って、葬式と大して変わらない、ということを思い出した。

 

通夜というのは、うちの実家では、家に和尚さんを呼んで身内とご近所様だけでひっそりと行うものだ。だから服もフォーマルではなくただの黒い地味な平服だったりする。祖母の通夜のときには、近所に住む祖母のお友達が茶ねずの着物に黒の紋付羽織を着ていて、感動した覚えがある。

 

実家を出てから通夜に出るのは2回目なのだけれど(前回はワンピース)、前回驚いたのは全員ブラックフォーマル(洋服)だってこと。特に首都圏では、通夜の時間が夕方~夜開始なので、仕事帰りに寄れるということもあって通夜はまるで葬式のような参列状況、と聞いた。

今回も話を聞くと、会場を借りて葬儀屋さんにお願いするという。参列も故人の仕事関係の人が多いよう。

 

だったら(1)にするか?とも思ったのだけれど、やはり「通夜で正装なのは死を準備していたみたいで失礼だ」という私の地元での常識を崩しにくいし、喪主より格を落とすのが礼儀とも思い、正装するのは気が引ける。

教えてgoo発言小町の書き込みを読むと、思いのほか「和服で出席」そのものが印象を悪くするようだ。いわく、「誰も和服を着ていない中で一人で和服正装だと故人の愛人みたい」「わざわざ和服にするなんて葬式にお洒落するみたいで失礼」「和服は1親等とか2親等くらいの人が着るもの」「普段からあの人は和服着る人というというイメージがあればいいけどやめておいたほうがいい」等。

そういう意見を読んでいると、やっぱり無難に洋服にしようかなあ、と悩む。

 

しかし冠婚葬祭は着物を着るものという私の考え方を身内は知っているし、そう考えると、会葬者ならともかく親族なんだから「無難に洋服」という考えがまた失礼なような気もするし、「喪に服する」着物なのに、今着ずしてなんのための喪服か、とも思うのです。

 

で、結局(2)にしました。黒喪服に色喪帯。小物は全部喪服用の黒。

やはり(3)の江戸小紋ではみんなが真っ黒の中では浮くだろうと思うし、(1)では私が喪主のようになってしまうので却下。

 

正直、着たあとも大丈夫かなあ変じゃないかなあ、と悩んだけれども、特に嫌な顔をされることもなく、むしろわざわざ着物で来ていただいて、と喜ばれ、故人の娘さんにも「着物良いねえ、私も着たい」と言われたので私としては着ていった甲斐があったのでした。

参列者は子ども以外はほとんどブラックフォーマル(洋服)。100人以上の参列があったようだけれど、黒じゃないスーツなんて2人しか見なかった。黒スーツで仕事している人なんてほとんどいないから、みんな仕事帰りに着替えて来たんだなあ、と思う。着物は私だけでした。

 

着付けには、着付け教室でもらったゴム+クリップの伊達締め等をフルセット使用。空港の保安検査で引っかかって以来、これを使わなくてもいい着付けを目指しているけれど、こういうときはやっぱり重宝だわ。

着崩れもほとんどないし動きやすいんですよーと触れ回って、雑務を手伝う。

*1:余談だが、私は成人式に出たくなかったので、出ないと親に宣言したのだけれど、そのときに着物をつくってあげるから出なさい、と説得された。振袖なんて1回着て終わりのことが多いのにレンタル代は高いし、仕立てるなんて馬鹿らしい、とつっぱねると親戚筋から、紫一色の紋付振袖をつくってはどうか、という話があった。結婚したら振袖を切って色無地にも使えるしというので、私はそれをものすごく気に入り、仕立てるはずだったのだけれど、母が華やかな振袖の中で色無地なんてみっともないと大反対し、私も色無地を着る気満々だったので母と喧嘩し、結局仕立てず成人式にもでなかったのでした。こういうときやっぱりあの時仕立てておけばと思ってしまうし、そのうち自分で拵えよう、と思う。