ひな菊と黒い犬

まあまあそこそこほどほど

そうだ、掃除しよう。マジ掃除。

東鳴子温泉・高友旅館、ボンボリがあったのは2019年くらいまで
東鳴子温泉・高友旅館の自炊棟に4泊してきました。

高友旅館では現在のところ、木造2階建ての本館(はたごプラン)とコンクリート3階建ての自炊棟(湯治プラン)を使って経営されている。
宿の創業は大正13年1924年)。今となっては珍しい凝った意匠を館内で見つけると楽しい。
大正末期の本館も興味深いが、宿泊記録を読み漁るといわゆる当時の高級建築の廉価版(書院造を簡略化)のようなので、今回は昭和52年に建てられたという自炊棟を予約。

レビュー曰く「自炊棟の方が汚い」。
え、どんだけ?というので、このインターネット時代、当然事前収集します。
どうも2019年くらいまでは、掃除している形跡がある。
どうやら2021年あたりから、壊滅的に汚くなっている。
それでもトイレにウォシュレットが導入されたようだ。
なにやら今年に入って、衛生面に改善の兆し。

掃除道具、何持ってく?というので、色々持参しましたが、大活躍したのは下記です。
・箒(外ホウキ)
・チリトリ(使い捨て)
・ほこり取りシート(使い捨て)
・塩素系漂白剤(ドメスト
・ぞうきん(古タオルを使い捨て)
・古新聞

掃除とは
本館の帳場で受付を済ませ、部屋に案内される途中の廊下ですら、いたるところで目につく埃。
これかァ。
毎日この空間にいると、もう目に入らないんだろうなあ。

自炊棟
かつての自炊棟の受付と思われる場所。かつての自炊棟利用者は本館には入れなかったかもね、と思わせる。
手前のこけしさんたちはホコリで白くなってたので、妻が埃取シートで拭いてあげました。かわいくなった。
写真は拭いたあと。手前のこけしと奥のはく製で解像度が違うわ。
ちなみに館内探検で本館の方も歩いてみたのだけれど、廊下がきれいに拭き掃除されててヒエラルキーを感じました。
さて、以降の写真は(心の平穏のため)掃除後の写真です。あしからず。

高友旅館・館内図
マイルームは、2階のトイレに最も近い部屋になりました。
ちなみに3階は使っていないよう。3階めっちゃ暑いので使わなくて正解。
部屋の窓は2つあり、メインは開いてましたが、キッチン側も開けます。
網戸に穴がないことを確認。
カマドウマやカメムシやKがいるらしいというので、モスキートネット(蚊帳)として総メッシュテントを持参していますが、使わずに済みました。Gジェットも持参していましたが使わずに済みました。
とりあえず持参の「おすだけベープ」をプッシュ!

冷蔵庫の掃除から
とりあえず冷蔵庫を開けてみます。冷えてるので使えそう。
SANYO製。まだ使えるなんてすごい。
錆びまくった仕切り棚をホウキで払いますが、いつまでもボロボロと白い塗装が落ちるので仕切り棚は使わないこと決定。とりあえず新聞に包んで隣の流しの下に仕舞います。
(繰り返すけれど写真は、掃除後。退室するときに原状復帰させて撮影したもの)

冷蔵庫隣の洗面の蛇口を回すけれど水圧が低いのか水量がでない。
レビューでは「茶色い水が透明になるまで流すのが最初の儀式」ということだったけれど、洗面は使わないこと決定。キッチンの蛇口は十分な水量があるのでどばどば流します。
まったく透明になる気配がしないけれど、薄くなってきたので、冷蔵庫の水受けと製氷皿をスポンジ(備付)で洗う。(製氷皿は結局未使用)
ドアポケットの埃を埃取シートでとり、水拭き。さらにふき取り除菌(塩素系漂白剤を薄めた濡れ雑巾を堅絞りして拭く)。
夫は背面の放熱板まで掃除してくれました。
クーラーボックスで持参した氷と食材を入れていきます。

以降は下記(1)~(4)を、【掃除】と記載します。
(1)外ホウキで掃く(2)埃取シートで拭く(3)古新聞で水拭き(4)雑巾でふきとり除菌

キッチン
次はガス台の【掃除】。
ガスコンロの受け皿にたまっている錆くずを捨て、五徳と受け皿をタワシ(備付)で水洗い。
ガス台を移動させて、ガス台の下の埃と錆クズをホウキで払う。
クレンザー(備付)とタワシでべたべたの油汚れを取る。
錆びたこびりつきは残ってるけどほどほどにする。
ガスコンロも同様に【掃除】して、受け皿と五徳を戻す。
鉄の塊が落ちているのでなんだこりゃ?と思ったら五徳の爪でした。五徳の爪って折れるんだ・・・。
換気扇も【掃除】。換気扇のスイッチがひっかからない~(困)どうも壊れているよう。
夫が試行錯誤してスイッチを入れてました。
夫が「一度止めると二度とつかないかも」というので、怖くて妻は一切触らず。
結局退室するまで換気扇回しっぱなしにしてます。
羽が一枚折れてる換気扇だったのに、部屋の熱気をすごく排気してくれた。SANYO製。

食器棚
備付のバケツと洗面器大活躍。(バケツも持参してたけど未使用)
食器棚の上には、雑然と積みあがった食器がそれなりの数あったのだけれど、夫が使わないといってきれいに揃えて棚の中に仕舞っていました。
ようやくキッチンエリアの床(クッションフロア)を【掃除】。
キッチンエリアがあらかたきれいになったので、持参の使い捨てスリッパを置いて使います。

部屋
次は部屋。
掃除の基本は上から。
踏み台がないので、何かないかと廊下に出たら、なぜかビール瓶ケースが埃をかぶっているのを発見。踏み台代わりにするために【掃除】。
いったい何年溜めたのやら、照明の上に厚くなっている埃を落とさないようにそーーーーっと埃取シートで絡め取ります。
押入れの上の天袋を開けたら何も入っていないのに地獄を見たので、締めて見なかったことにし、外側の埃だけとります。
テレビやテレビ台はもちろんのこと、障子の桟や柱の脇も埃だらけなので拭いていきます。
そういえばポットと紙コップが座卓の上にありましたが、使っていません。

さすが昭和52年という感じで、砂壁がうちの実家の茶の間と同じ材質。
母がポロポロ落ちてくるから嫌と散々愚痴を言う壁。
当時の大量生産品を使ってることがわかる。

床の間
物置と化している床の間のストーブ・ヒーター・扇風機・電話も埃をとります。
扇風機が点かない!と焦ったらスイッチが劣化しているようで、強めに長く押すと点くらしい。
ひどい錆、家電スイッチの劣化、埃の固着。
ここらへんから、これはもしかして温泉の硫化水素ガスの影響か、と気づき始める。
そういや部屋の鍵が壊れてるとかコツがいるとかいうレビューがあったけど、鍵の錆か・・・。
夫は愛用の潤滑剤を持参していて、使うドアのカギ穴・ヒンジ・ドアラッチ、すべてにプシュプシュしてまわっている。
ドアが、スカッと動くようになった。


入口
入口の棚は靴置き場だったのかもしれない。古新聞が敷いてありましたが埃ごと速攻で捨てて、新しい古新聞を敷いています。
ようやく畳を【掃除】。畳の目に沿って丁寧に掃いて拭いていきます。
ふき取り除菌をすると急に部屋中が爽やかに感じられる。
ダニにやられたというレビューがあるので、持参のダニよけ(ビーズタイプ)を設置。

押入れ
ようやく布団を出します。
掛布団は使う気にならないので触っていません。
持参のシーツを掛布団代わりにします。

敷布団とマットレスとシーツ
シーツはリースのようでパリッとしたのが置いてあって安心した。
交換する気配はないので、帳場に毎日受け取りに行きました。
古いのは部屋にまとめておいてほしい、というので、最後に重ねています。
敷布団とマットレスを引っ張り出す。
一番下に新聞紙が敷いてありましたがこれも全部捨てて新しい古新聞を敷いておきました。
ちなみに敷布団とマットレスは4日間押入れに仕舞っていません。
日中は座卓をスタンド代わりにして干しました。
実はキャンプ用のマットと寝袋を持参していたけど、使わずに済みました。
敷布団とマットレスに持参の「おすだけベープ」をプッシュしてからシーツをかけます。

気温は30度なので汗だく。これでクーラーないとか信じられん。
でも冬だったら水にも触りたくないし、汚れも取りにくいだろうから、夏でよかったかも、と思う。
ちなみにうちは秘密兵器DOKOCURAを持参したので、いくらか快適でした。

トイレ ウォシュレット
夫はひたすらトイレ掃除。
部屋の目の前のトイレには、我が家のトイレの上位機種が設置してありました。
ウォシュレットだからよかったけど、旧便器だと掃除する気にならなくて、ここに泊まる決意をしなかったかも。
そういや男性用の小便器が使えないのは流す押しボタンが錆びて使えなくなったんだろうなあと推察。
トイレは館内にあちこちありますが、妻は自分たちで掃除したココしか使ってません。
ちなみにトイレットペーパーが切れたので、帳場までもらいに行って補充も自分たちでしています。
他の利用者が1回でも立ちションすると汚れるのでやだなあ、と夫はぼやいていましたが、少なくとも5日間は無事だったので、民度が高かったようです。よかった。
そういや高友旅館ではペットと同宿できるというので、ワンを2匹ほど見かけました。
かわいい。
1フロアの半分は完全に使っておらず、利用者の部屋との間に一部屋空けて使用するようにしているらしく、廊下の声は丸聴こえだけど、部屋の声は聞こえない。念のため耳栓も持参していたけど、夜も静かでした。

そんなこんなで一通り気が済むまで約2時間掃除。
最後に、やかん・スポンジ・タワシ・雑巾をつけ置き除菌。
15時にチェックインしてから17時過ぎまで二人で掃除しました。
夫はさらに翌日、ウォシュレットを外して裏面やフィルターまで掃除していた。

原状回復
人工にすると約6時間分掃除に費やしたことになる。
しかしおかげで4日間快適でした。
心配していたカビ臭さも部屋では感じなかった。
水道水も二日目には透明になりました。
水道水は飲食には使ってないけど、ハミガキ手洗いに抵抗ないくらいになった。
コンセントは4か所、口は一つしかないので、テレビ・扇風機・秘密兵器・携帯充電で終了。
(冷蔵庫にサービスコンセントがある)
掃除機持ってくるべきだったか、と思案したけど、どうやら掃除機は従業員がかけているようだ。
基本的に我々が使うところしか掃除していないので、共用の電子レンジや洗濯機や乾燥機もあったのだけれど近づいていません。ちなみに時計が合っているところはない。踏み台にしたビール瓶ケースは元の位置に戻したけど、ケースだけがライトアップされてるかのよう。

黒湯の脱衣かご
入浴するときにも毎度埃取シートを持っていきました。
脱衣かご・棚・椅子・扇風機、あらゆるところが埃まみれなので、うかつに触れません。

扇風機
扇風機の網を外して羽根の埃も取りたかったけど網を外せず(錆びている)そのまま。無念。

たかともファーム
黒湯の脱衣所に「たかともワンダーファーム」の古いポスターを見つけた。
調べると 1990年開園、震災の影響で休業から閉園。
めっちゃバブルの匂いがする。

そういや宿の駐車場の案内に「高友産業工事部工事事務所」の駐車場をご利用くださいって書いてあったな。
帳場のオヤジさん、思いっきりつなぎで土建屋の作業員ってナリだった。

「高友産業」で検索すると、国内生産牧場法人で、競走馬情報(JRA)が出てくる。
2002年頃の地方競馬の記録では「たかともワンダーファーム賞」や「鳴子黒湯の高友旅館賞」があった。

あー、なんかここの経営って山師の匂いがする。
古い旅館を家族で守っていく、という性質のものではない。
すなわち5Sってなに?っていう社風。
考えてみればキッチン付の部屋って、すんごくルールが細かかったりするものだけれど、ゴミの捨て場所しか案内されなかったな。
よい意味でも悪い意味でもほったらかしなのだろう。
スタッフは3~4人くらいしかいないようだし、我々もそのほったらかしに便乗したところもある。

閉鎖されてる別館や大広間があって、連日宴会なんかしたのかもしれない。
自炊棟は3階までフルに客が埋まってて、わいわいやってた時代があったんだろう。
いまは、この枯れた財産を静かに使える。
使って、きれいにしていく。
つづく。