ひな菊と黒い犬

まあまあそこそこほどほど

誰もいない雨の花見と赤色発光ダイオード

大横川沿道桜道
思い立って東京都現代美術館に行くことにした。
開館前に到着して、少し歩くことにした。

桜雨
桜の時期に降る雨を「桜雨」というのだそうだ。
雨の花見もまた乙なものです。

花冷えの雨
大横川沿道桜道は、目黒にも負けないと思う川沿いの桜並木だけど、東京の朝は遅いおかげで、ゆっくり歩けた。

朝は誰もいない
花冷えとはよく言ったもので、急に冷え込んだので、着込んで出かけた甲斐のある寒さ。
8時半からやってる和菓子屋さんで、桜餅といちご大福をいたただいて、一息つく。

宮島達男常設作品
ディオール展が盛況なせいで、入館までの長い列に巻き込まれざるを得ない。
ディオール展も興味がないわけではないけれど、横目に素通り。
チケットカウンターには並ばず、インフォーメーションでコレクション展500円のチケットを買い求めて入館。

コレクション展
宮島達男の作品が、東京都現代美術館のコレクションの一つだとは知っていたけれど、常設だとは知らなかった。コレクション展の料金さえ払えば、いつでも見られる。
1998年から展示されていたというから、もう20年以上展示されているわけだ。
私が初めて東京都現代美術館に行ったのは2004年でその時にも展示されていたわけだ。
あの時にはあまり時間がなくて企画展しか見なかったから、常設を見ていたら出会えていたのだと思うと悔やまれる気もするが、そのあと現代美術館には一度も行っておらず、私が宮島達男を知ったのは2005年だから仕方ない。

3階コレクション展示室
贅沢な広い一室に、一作品だけ。
座ってみられるし、写真を撮ってもいい。
赤一色のLEDのデジタルカウンター1728個。
全部カウントアップしている、ゼロはない。
1996年ってことは、今思うとかなり早い時期のLEDだから、製作費が高そうだ(今でも1個18000円するらしい)。
色は強いものがあったり弱いものがあったりする。
実際20年の間に光が弱くなってしまって、2016年~2019年まで3年間リニューアル休館をしていた間に修理されたそうだ。

開館してすぐ3階のコレクション展示室に行って、独占して眺めた。
もちろんコレクション展示を一通り見て、また眺める。
コレクション展示としては、最後の展示、ということになる。
現代アートに、意味を求める必要はないと思うけれど、赤はやっぱりアグレッシブな色だ。
25年前の作品、彼が40歳のときの作品。
今見ると、なんか若いね、と連れと話す。
色んな事がどうでもよくなってきて、考えるのもばからしくなってきたころに、満足した。

「絶望を多幸感で上書きする」(byシン・仮面ライダー
それもまた救済のひとつ、という気になってきた。
こういうのを、車一時間走らせれば見に行けるところに住んでいる、私はそれだけで僥倖だ。