ひな菊と黒い犬

まあまあそこそこほどほど

藤森照信の小さな建築を見にいく

神長官守矢史料館
「神長官守矢史料館」(1991年)は、建築家・藤森照信のデビュー作。
諏訪大社の筆頭神官だった守矢家の資料を展示、保存する。
77代守矢真幸氏が近所のてるぼ(藤森氏)に声をかけたとか、78代当主守矢早苗氏と藤森氏が幼馴染みという縁だったとからしいが、よくこういう形になったと思う。
印象を一言でいうと、ユーモラスなのだ。
守矢氏の意向なのか、藤森氏の素質なのか、藤森建築の何たるかを決定づけたと思う。
守矢家の口伝伝承の神事は絶えても、この建物が何かしら残していく気にさせる。

神長官守矢史料館・正面
御柱を彷彿とする4本の柱。「薙鎌打ち神事」にも使われるという薙鎌があるというのでどこにあるのかと思いきや、木に打ち付けられていました。

薙鎌
御柱祭の一年前に行われるという「薙鎌打ち神事」。薙鎌は国境(お諏訪さまの神域)を示すもの、薙鎌を打つことでご神木になるのだそうだ。

御頭御射宮司総社
神長官守矢史料館の敷地内にミシャグジさまが祀ってある。
神事は前宮でやっていたというけれど、今や神長官の口伝伝承の神事もなく、人々の信仰もミシャグジさまではなくお諏訪さまが対象になってる。
祟り神とも言われるミシャグジさま。
神の力が人の想いの集合体だとすると、神威はお諏訪さまに譲っているように思う。
今のミシャグジさまは精霊程度になって、この守矢家の祠にいるのかも、なんてことを考える。

空飛ぶ泥舟
神長官守矢史料館の敷地から、坂を上ったところにあるのが「高過庵」「低過庵」「空飛ぶ泥舟」。
「空飛ぶ泥舟」(2011年)が見えてきます。

空飛ぶ泥舟
わあ。ジブリみたい。楽しい。

ハシゴ
ハシゴもありましたが、まあ、登っちゃだめだよね・・(施錠してありました)
藤森氏の実家の畑の中らしいのだが、畑仕事の休憩に使っていただきたい。

高過庵と低過庵
さらに坂を上ったところに、高過庵(たかすぎあん・2004年)と低過庵(ひくすぎあん・2017年)。

高過庵
高過庵。まさにツリーハウス!なんだけれど、足場はちゃんとコンクリで固めてあります。
茶室らしいが、秘密基地よね。

低過庵
低過庵。三角屋根はスライドして開くらしい!

だんさ
低過庵に回り込んでみると、石垣の段差になっていて、横からも入れるよう。
竪穴式住居っぽい。

女子旅
しばし歓談。雨は降り続く。

祠
敷地内に小さな祠がある。ミシャグジさまかなあ。小さな祠にも御柱してある。

空飛ぶ泥舟
さっきみた空飛ぶ泥舟が見える。

泥舟と高過庵
ひとしきり建築を堪能して、戻る。
振り返ると泥舟と高過庵。女子旅はここで終わり。

高部公民館
別日で再訪。
前宮から本宮へとつながる県道16号沿いの高部公民館。

外壁の焼杉
外壁の焼杉が立派。高部のひとが焼いたりしたらしい。
いいなあ、みんなでつくる建築。2021年6月竣工。

鐘
奥は細くなってて、鐘がある。どうやって鳴らすんだろう。

五庵
ラストは五庵。
元々は渋谷につくられた「パビリオン・トウキョウ2021」のパビリオン。
パビリオンは撤去になったけれども、廃材をひきとって再建築したものだそうだ。

だれかさんの庭みたい
令和3年9月5日の大雨で茅野市宮川高部地区では土石流が発生し、下馬沢川が氾濫したらしい。
そういえば下馬沢川のところに物々しい警報器が置いてあった。
その影響で、再建築が延期になってたらしいが、つい先月完成したようだ。

パビリオンとは違う、石から生えたようなつくりが、この土地にふさわしい気がする。
ミシャグジさまは水の神様とも石の神様とも言われるそうだ。賽の神とも。
どんなことも、意味を見出すのは人間で、自然現象はただそこにあるだけ。

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